センターニュース かわら版
民間企業や国、地方公共団体などは、「障害者雇用促進法」によってその従業員数の一定割合以上の障害者を雇用しなければならないと義務付けられています。「常時雇用している労働者数」と雇用しなければならない障害者の割合を示したものを「障害者雇用率」と呼び、現在の雇用率は2.3%です。
この「障害者雇用率」はおよそ5年ごとに見直されることになっており、現在の雇用率は、2018年4月からの雇用率として設定されていますので、2023年はその見直しの年に当たります。
そのため、2023年1月18日に第123回労働政策審議会障害者雇用分科会が開催され、「障害者雇用率」の案についても検討されています。
その資料によれば、
と、段階的に引き上げられることになるようです。
この「障害者雇用率」に適用される除外率についても、令和7年4月以降に10%引き下げになる見込みです。
これらに対応する形で、障害者の新たな雇入れや雇用の継続が図られるよう、中小企業等に対して必要な一連の雇用管理に関する相談援助の事業を行う者への助成を行う「障害者雇用相談援助助成金(仮称)」や「中高年齢等障害者職場適応助成金(仮称)」の新設、その他既存助成金の拡充が行われる予定です。
合わせて、雇用率の算定の対象となる「特定短時間労働者」の労働時間について週10時間以上20時間未満とすることで、重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者である特定短時間労働者のカウントについて、1人をもって0.5人とすることになるとされています。
現在、従業員を43.5人以上雇用している企業は障害者を1人以上雇用する必要がありますが、今回の見直しにより障害者雇用率が引き上げられれば、今後、段階的に対象になる従業員数の規模が一気に下がってきます。
そのため、これまでは障害者雇用率制度の対象でなかった企業も、早めの対応が求められそうです。
医療労務管理アドバイザー / 社会保険労務士
橋本 堅