有期雇用契約(三重医報 第663号掲載)
毎月、労務管理でのワンポイントを掲載させていただきますが、本号では有期(期間を定めた)労働契約の期間についての留意点を説明いたします。
- 有期雇用契約を締結するときは、「契約期間」を労働条件として書類で明示(労基法15条)しなければなりませんが、一定期間の事業完了までとする場合の他は「3年以内の期間」(労基法14条)としなければなりません。
但し「高度な専門的知識」「満60歳以上の者」との契約では「5年以内」とされていて、「医師・薬剤師」は高度な専門知識に該当し「5年」、その他の医療業務従事者は「3年」ですが「60歳定年後の再雇用等」では、定年まで「無期雇用契約であった者」でも5年間の有期雇用契約に転換できます。
- 期間を定める雇用契約については、基本的には「契約期間が終了」すれば特段の手続きをしなくても「契約は自然に解除」されることになりますが、契約終了時点で「更新」して引き続き就労させている場合のトラブルが多く、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」として厚生労働大臣告示が出され制約がありますので注意が必要です。
この告示は、厚生労働省ホームページから見ていただけますが、留意するポイントを以下に示しますので参考にしてください。
- 有期雇用契約締結時には、一般的労働条件の他に「更新の有無」「更新する場合の判断基準」も書面で明示しなければならない。
- 3回以上更新、又は、1年を超えて継続雇用の場合は、更新しない契約終了日の30日前までに予告が必要。このときは「雇止めが合理的であるか」の民事紛争はあり得るので、事前に十分説明が重要。
- 有期雇用契約での期間途中の解雇は、民事訴訟において非常に厳しい無効判断(合理的な懲戒解雇は除く)がされます。
- 平成25年4月1日以降に締結した有期雇用契約は、5年を超えた更新以降に労働者から申込みがあれば「無期契約」に転換しなければなりません。
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