解雇・退職の留意事項(三重医報 第664号掲載)
毎月、労務管理でのワンポイントを掲載させていただきますが、本号では、退職(解雇・自主退職)についての留意点を説明いたします。
- 民法623条で「雇用(労働)契約」は、当事者の一方が相手に対して労働に従事することを約し、相手がその労働に対して報酬を与えることを約することで効力を生じると定め、627条で「期間を定めない雇用では当事者はいつでも解約の申出ができ、相手が承諾しないときでも2週間が経過すれば雇用は終了する」と規定しています。(期間を定めた契約では、原則、途中解約はできないことは前回説明したとおりです。)
- 但し、労働基準法20条では民法規定を修正し、事業主が労働者を解雇する場合は、「30日前までに予告、予告しないときは予告手当支払い」を定めていて、労働者の不法行為等での懲戒解雇の場合も適用があることなので、即時解雇が必要なときは所轄労働基準監督署長に「除外認定申請」が必要であることに留意してください。
- 解雇は、労働者の生活基盤に関わる重大な事項なので、手続きの規制だけでなく、「やむを得ない合理的な理由」がある場合に限られるとの過去の民事訴訟判例が定着していることを受けて、平成20年に施行された労働契約法16条に「合理的理由、その説明」が規定されており、又、労働基準法19条では「業務上負傷疾病の休業期間・産前産後休業期間、及び、その後30日間は禁止」とされていることにも注意が必要です。
- この他、男女雇用均等法では、育児休業・育児理由での時間外勤務除外の申出等を理由に解雇することも禁止されていますので留意してください。
- 又、多くの事業場の就業規則には「自主退職のときは1か月前までに申出ること」との規定が見られますが、これは、業務引継ぎ等の事情で余裕のある事前申出を促す意味として直ちに違法とはされなくても法的には無効で、労働者が「14日経過後に退職」の行動があれば認めなければならないことですからご留意ください。
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