職員採用時の留意事項(三重医報 第665号掲載)
- 内定の取り消し
労働契約は、民法(623条)で当事者の合意があれば成立するとされていて、「採用日・勤務場所等を明示した採用通知」をすれば労働契約が成立し、勤務開始予定日になって「採用しないことにする」のは「解雇」となり、労働契約法16条に定める「合理的な理由」と共に労基法20条に定める「30日前までに予告、又は予告手当支払い」が必要になります。
採用内定通知者の不採用も、勤務開始日指定等があるときは、民事上「労働契約の予約」と認められず「解雇」と看做され、不採用の合理的理由が問われる可能性が高いのでご留意ください。
- 試用期間
労働者を採用するときに「試用期間(法的に期間制限はない)」を設けることは「解約権留保付労働契約」と言って、適性・能力評価等のための制度として最高裁判所判例でも認められていますが、その期間にはいつでも自由に解雇、又は、試用期間終了時に本採用しないことができるものではなく、通常の「労働者の解雇」において問われる「その者を解雇しなければならないやむを得ない事情」ほど厳しい制約ではないものの、「社会通念上認められる不適性・能力欠如等の合理的理由」が無い限り基本的には解雇権濫用(労働契約法16条)となりますのでご留意ください。
なお、合理的理由が認められて試用期間途中で解雇、試用期間終了後の本採用を拒否するときには、採用後14日以内の者を除き解雇予告・予告手当支払い(労基法20条・21条)が必要であることにもご留意ください。
- 職員採用時の安全衛生教育・健康診断
労働安全衛生法では、59条に、労働者の知識・経験・技能不足による災害防止のために「取扱い物の危険性、作業手順、事故時の対応等」について雇入れ後速やかに教育することを定め、66条では雇用契約が1年以内で終了するパート・アルバイト(通常の労働者の4分の3未満の労働時間)を除き「雇入時健康診断」実施を定めています。
安全・健康管理不十分での災害・健康障害が発生すると、使用者責任(処罰・民事損害賠償)が厳しく問われますのでご留意ください。
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