危険・有害物使用等でのリスクアセスメント(三重医報 第668号掲載)
毎月、労務管理でのワンポイントを掲載させていただきますが、本号では、労働安全衛生法改正による本年6月からの「危険・有害物の使用等でのリスクアセスメント実施義務の拡大」についての留意点を説明いたします。
- この法律では、危険・有害な業務について平成18年からは「リスクアセスメント実施が努力義務(同法28条の2)」として定められていますので、化学物質の爆発、有害物質での中毒等による労働災害・健康障害を防止するためにリスクアセスメントを実施しておられる医療機関も多数あるものと思いますが、本年6月からは、対象となる危険・有害な「化学物質が640種」に拡大されて「全ての事業場」でリスクアセスメントを実施することが義務化されました。
- 労働災害・労働による労働者の健康障害に関しては、労働契約法5条に「安全配慮義務」が明記されており、完全な災害・健康障害防止対策が求められていて、法令に定める「化学物質使用等に際して危険要因の把握」をせず災害を発生させたときは民事上の損害賠償請求を求められる可能性が高いものと考えられます。
- 6月1日以降に製造される化学物質には、対象となる物であるかの表示(SDS・政令番号等)がされ、危険性の内容も製造者から説明が義務となっているので、それに対応した「作業上の安全対策」を策定することになったのですが、改正法施行日前の製造物には表示がない物があり、現在使用している科学物質が該当するものであるかについて点検することになります。
- 対象化学物質には、職場で使用する殺菌剤・殺虫剤等まで含まれることになりますので、医療機関での職場点検は大変だと思いますが、化学物質の製品名・製造番号等からも確認でき厚生労働省職場の安全サイトで公開していますから、リスクアセスメントの実施、それに基づく「安全作業手順の作成」等を確実に行い、災害・健康障害防止対策を推進することになります。
- リスクアセスメント・対策の実施については、国の支援事業として「三重産業保健総合支援センター(三重県医師会館5F)」が産業保健相談員(労働衛生工学担当)・労働衛生工学専門員による相談(訪問も可)を受けていますので、ご活用ください。
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