時間外・休日労働(三重医報 第672号掲載)
毎月、労務管理でのワンポイントを掲載させていただきますが、本号では、労働時間等3(時間外・休日労働))の説明をいたします。
- 労働時間は1週間40時間以内・1日8時間以内が原則で、一定期間を平均して法定労働時間以内とする変形労働時間制を採用することもできること、及び1週1日(4週4日も可)の休日を設けることは9月号で説明しましたが、「臨時の業務」等で必要なときは、労働者の同意により、この時間を超えて、又は休日に労働者を就労させることができます。
- 各医療機関の所定勤務時間は、就業規則・個別の労働条件通知書で「法廷労働時間の範囲内での勤務時間数」「休日の特定」を取り決めておられて、これを超える勤務を命じることが「労働契約のうえでの時間外労働・休日労働」になり、契約を超える勤務時間分の賃金(月給者・日給者でも時間当たりの賃金)を支払わなければならないことは当然ですが、これが法定労働時間を超える、又は、法定休日を確保できないこととなる勤務時間分については「賃金の割増」が必要となります。(労基法37条)
- 又、法定労働時間を超える時間外勤務・法定休日の勤務を命じることができるのは、医療機関全体(1事業場)の過半数労働者を代表する労働組合(労働組合がなければ、民主的方法で選出された代表者)との「時間外・休日労働労使協定」を締結することが前提となります。(労基法36条)
- 最近、労働者の健康被害の多発等から長時間労働防止が話題になっており、労基法での制限は「労働時間延長の限度基準(36条根拠の告示)で「1か月45時間・1年360時間等」と限度を定めていますが、やむを得ない場合の「労使協定での特別条項」での制限除外が問題視されています。
- 労基法では法定労働時間を1か月60時間以上超えるときの賃金割増率を50%として抑制しており、労働安全衛生法では1か月100時間超の時間外労働(努力規定80時間)での医師面接指導を定め、又、過労死等の労災認定基準では1か月80時間超の時間外労働を大きなリスクとして評価していることも踏まえて、医療従事者が能力を発揮して健康に勤務できるために、特に長時間労働を防止する「勤務環境改善取組」推進をお願いします。
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