年次有給休暇1(三重医報 第673号掲載)
毎月、労務管理でのワンポイントを掲載させていただきますが、本号では、労働時間等4(年次有給休暇⇒年休の1)の説明をいたします。
- 年休は、労働基準法39条において「雇い入れてから6か月を経過するまでに勤務すべき日の8割以上を出勤した労働者に、次の1年間に10日、その後は同じ条件(出勤率)で1年経過ごとに日数を加算(1年半経過後の次の1年は11日、2年半後12日、3年半後14日、4年半後16日、5年半後18日、6年半後20日になり、その後は加算の必要はなく毎年20日)して与えなければならない」と定めています。
1週30時間未満で週4日以内の短時間勤務では、付与日数を減らして付与(比例付与)することとなっています。(規則24条の3参照)
- 付与の基礎となる期間に8割未満の出勤率であった労働者には、その後の1年間は付与しなくてよいのですが、付与しなかった1年間に8割以上の出勤率であったときは次の1年間の付与が復活します。
「例」雇入れ後2年半後1年の出勤率低く、3年半からの1年は付与0日
→4年半後の1年には「雇入れ後の在籍期間で定められた日数」の付与。
- 出勤率算定=遅刻・早退日、労災休業日、産前・産後休業日、育児・介護休業日、年休取得日は「出勤日」
- 在籍期間 =休職期間(他の医療機関等への移籍は除く)も含む
- 年休は恩恵的に与えるものではなく、法定休日とは別に労働者が自由に利用できる日を付与する義務で、請求を拒否することはできませんが、事業の正常な運営に支障があるときは「時季を変更して付与」することはできます。
- 院内労働組合活動・争議での請求には例外として拒否(付与は不当労働行為)できますが、「忙しい・非正規職員はダメ」等は認められません。
- 年休の請求は、付与した期間に取り残しがあれば翌年1年間は繰り越されます(請求権時効)ので、法律上の決まりはありませんが「繰り越し分を優先付与」等の運用基準を決めておくことが望ましいと思います。
- 年休届出書を使用され、事情把握のために一般事項として「理由欄」を設けているときは、やむを得ず時季変更の参考とする他は、記載内容を詮索して請求拒否のないよう注意してください。
(その他の事項は次号で)
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