妊産婦等(三重医報 第676号掲載)
三重県が実施する「女性が働きやすい医療機関」認証制度の審査に当センターも関わらせていただきましたので、昨年10月号記事に関連して労基法に規定する「妊産婦等の就労制限」を少し掘り下げて説明いたします。
- 労基法では、基本的に性別での労働条件差別を禁じていますが「妊産婦(妊娠〜出産後1年の間)等」の母性保護を規定しています。(第6章の2)
- 妊産婦の就労制限は「重量物取扱い(断続30kg、継続20kg)」「危険・有害業務(有機溶剤取扱い、多量の高熱物・低温物取扱い、著しく焦熱・寒冷な場所での業務等)」と女性規則第3条に定め、妊産婦以外の女性にも「重量物・有機溶剤等の取扱い」は禁じています。(第64条の3)
- 産前6週間(多胎妊娠14週間)産後8週間は就業禁止ですが、産前は申出があった日からになり、産後は6週間経過後に本人から申出があれば医師が支障ないと認めた業務に従事させることができ、又、産後休業は「妊娠4か月(85日)以上での中絶・死産」でも休業させなければなりません。
妊娠中の女性が「軽易な業務に転換」を申出たときは、原則として本人希望の業務に転換させることが望まれますが、該当業務がなければ短時間勤務・業務範囲の軽減等を話し合って決めることもできます。(第65条)
- 妊産婦期間の職員から請求があれば、変形労働時間制適用者であっても「1週40時間・1日8時間を越えて、又は、休日」に就労させること、及び、「深夜業」に就労させることはできません。(第66条)
- 生後1年以内の生児を育てる女性(母親に限らず)から請求があれば、所定休憩時間と別に「1日2回、各30分以上」の育児時間を与えなければなりませんが、本人が希望する取得時刻を使用者が制限することはできません。
1日の就労時間が4時間以内の職員には「1回・30分」を付与すれば法定基準を満たします。(第67条)
- 育児介護休業法は、本年1月から「介護休業の分割請求」「介護休暇・子の看護休暇の半日取得」「介護のための所定労働時間短縮は介護休業と別に3年間」「介護での残業免除新設」「有期雇用契約での育児休業条件緩和」等の改正がありましたので、規程整備・取扱い変更をお願いいたします。
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