就業規則1(三重医報 第677号掲載)
労務管理でのワンポイントとして、本号では「就業規則1」について説明いたします。
- 労働者を雇用するときは、当然、個別に雇用契約を締結し労働条件を取り決めますが、事業場全体での労働条件は労基法89条では「常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成すること」を義務付け、作成したとき、変更したときには所轄労基署への届出を行うことを定めています。
- 就業規則とは、労働者が就業するにあたって守るべき規律や労使双方が取り決める労働条件の具体的細目について定めた規則類の総称で、絶対事項として「始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、チーム交替勤務での就業時転換事項」「賃金(賞与等の臨時賃金があれば含む)」「退職事項(退職手当があれば関係事項を含む)」の他、制度があるときは「労働者の費用負担事項」「安全衛生・職業訓練・災害補償・私傷病扶助・表彰及び制裁事項」並びに「旅費等すべての労働者に適用する事項」を規定しなければなりません。
- すなわち、賃金規程・退職金規程・育児介護関係規程・パート関係規則・懲罰規程・旅費規程等を別途に定めるときは、これも就業規則の一部ということになり、就業規則に「別途に定める」と規定している「これらの規定」を変更したときも労基署への届出が必要になります。
- 就業規則の作成・変更は、事業場(施設)単位で労働者の過半数を組織する労働組合(労働組合がないときは過半数労働者を代表する者)の意見を聞き、労基署への届出には「意見書」の添付が必要です。(労基法90条)
- 労働者の過半数を組織する労働組合がなく、労働者代表の意見を聞くことになるとき、代表者は「監督・管理の地位にない者」であって「協定の代表者選出を明らかにした全労働者による投票・挙手等で選出された者」とされているので、経営側から指名するようなことをしてはなりません。
- 労働者の意見を聞く際には反対・修正の意見であっても拒否してはならず、可能であれば意見を取り入れて修正することが望ましい(民法・労働契約法には同意の原則あり)のですが、労基法上は必ずしも同意を得ることとはされていませんので、規定・変更理由等を十分に説明するようにしてください。
- 次号以降にて、規定事項にかかる説明をいたします。
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