就業規則2(三重医報 第678号掲載)
労務管理でのワンポイントとして、前号に続いて「就業規則2」について説明いたします。
- 就業規則を作成するとき、使用する労働者の労働条件が全員同じでなく、例えば一部に非常勤(有期雇用契約等)就労者、パートタイム(通常の労働者より短時間の勤務)就労者を雇用している場合には、一括して規定するには条件が異なる部分を羅列する必要があり複雑になるので、就業規則本則に「〇〇就労者の労働条件等は別に定める」と除外・委任規定を設けて別規則を作成することも差支えない(行政通達)とされていますが、この場合の労働者からの意見聴取(労基法90条)は「各労働条件対象者別ではなく一括して、病院全体の過半数労働者を代表する労働組合(労働組合がないときは全体の労働者代表)」に対して行うことになります。
なお、パートタイム労働法(7条)では「短時間労働者の過半数を代表する者の意見を聴くよう努める」ことが定められていますが、これは労基法の規定とは別にパートタイマーの意見反映が望ましいとの趣旨なので、労基署提出にあたってその意見書を添付すればよいとの意味ではありません。
- 作成した就業規則は、「休日・時間外労働労使協定」等と同様に労働者に周知しなければなりません。(労基法106条)
周知の方法は、常時見やすい場所に掲示・備え付け、労働者のだれもが閲覧できる院内LANに公表、規則写しの交付等のどれかを行えばよいのですが、労働契約法(4条)では新規採用者から規定の説明を求められた場合等には十分に説明することを定めていますのでご留意ください。
- 就業規則には、労働者が就労にあたって遵守すべき事項・使用者の措置事項等を定めるものですから、個別の労働契約(労働条件明示書)で労使双方が同意しても就業規則の規定よりも労働者に不利益な措置・処分は無効(労働契約法12条)となり、例えば、就業規則に解雇条件の定めがなければ労働者を解雇することはできないことにもなりますのでご留意ください。
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