就業規則4(三重医報 第680号掲載)
前号に続いて「就業規則4」について説明いたします。
- 就業規則に定めなければならない事項は前号までに説明しましたが、他にも定めがなければ処遇・措置・処分ができないことにも留意が必要です。
- 労働条件と就業規則の関係は、労基法第2条2項に「労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し・・」と定めており、そのうえで、同法第89条には「就業規則に定めるべき事項」を示していますので、重要な労働条件は就業規則に規定し、その規定によって取り扱わなければならないということになります。
- 例えば、就業規則に「解雇」について「30日前までに予告、又は、解雇予告手当を支払う」等の手続きを規定していても、「解雇事由」が定められていなければ労働者を解雇する際にトラブルになりますから、雇用を続けることができない合理的な理由を定めているか見直してください。
- 「表彰・懲戒」を就業規則に規定している場合も「種類・程度」を定めることとされており、特に「懲戒」は労基法第91条に「減給制裁」の制限(1回の総額が平均賃金1日分の半額まで、複数処分のときの総額は1賃金支払期間の賃金総額の10分の1まで)もあり、懲戒における最高の処分である「懲戒解雇」は、社会通念上合理的と認められる理由を就業規則に定めていることが必要です。
なお、懲戒解雇を行う場合、それを「即日解雇」と定めているときは、例え重大な非行が理由であっても基本的に「解雇の予告(労基法第20条)」が適用されるので、所轄労基署長の「解雇予告除外認定」を受けなければなりませんが、労基法は懲戒処分としての解雇を禁じるものではないので、「懲戒解雇の日の30日前までに通知」と定めているのであれば労基署長の認定を受ける必要はありませんので念のため。
- この他、一部の職員に変形労働時間制の適用、宿直・日直の始業・終業時刻、賃金の銀行口座等への支払い・法定外控除事項、等についても、実態として取扱いがある事項の規定漏れのないよう留意してください。
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