新年おめでとうございます。
働き方改革は、労働者のワークライフバランスに配慮した多様な働き方を工夫することで安心して働ける職場での就労意欲を高め、企業の生産性にとっても好結果が得られるよう関係法令の改正も逐次整備しつつ進められています。
医療機関での多様な働き方は、基本的には医療水準の維持・向上、患者需要の確保及び適切な対応が図れる体制確立を検討され、それに整合する人的配置を考えることになりますが、大切なのは、医療従事者にとっても自らが働く医療機関の方針を理解できてWin-Winの関係を確立することだと思います。
当センターの主要な事業目的の「医療勤務環境改善マネジメントシステム導入の普及」も、法定基準の履行をご指導するものではなく、より良き勤務環境作りのご支援でありますので、取組み推進に向けてご理解いただきたい「労働契約法」について年始めの労務管理のポイントとしてご説明いたします。
労働契約における労働条件は、労働基準関係法令では最低基準を定めていますが、労使双方の契約当事者としての民事的な基本ルールは、それまで民法及び個別の法律規定に基づく判例法理で判断されていたものが、個別に労働条件が決定・変更されることや労働紛争が増加していることから平成20年に「労働契約法」が制定され、同法第1条には「労働者の保護を図りつつ個別の労働関係の安定に資することを目的とする」と謳い、第3条では「労使対等での合意、就業実態に応じた均衡とWLB配慮、労使双方の信義・誠実、権利濫用禁止」を規定し、労働契約における権利義務の法的根拠となっています。
例えば、労基法では、職員の採用時には個別に就業規則に沿って「書面で労働条件を明示」とされていますが、本法では「説明・同意」により円滑な労使関係構築を求めており、「兼業・副業」については、厚労省から2月にモデル規定が示されると思いますが、単に禁止するのは権利濫用の可能性があり、就業実態との均衡等からの合理性ある制約が求められることになります。
以下、次号から順次説明いたします。