労働契約法2(三重医報 第687号掲載)

 前号で労働契約の5原則(労使対等に同意、均衡考慮、ワークライフバランス配慮、信義誠実、権利濫用禁止)を定めたものと説明しましたが、本号では「均衡考慮」のワンポイントを考えてみます。

 本法20条では「有期・無期の労働契約で不合理に労働条件を相違させることは禁止」と定め、賃金に限らず、災害補償・服務規律・教育訓練・付随義務・福利厚生など一切の処遇の公平性を求めています。

 多くの医療機関では、期間を定めない労働契約(無期)は正規職員とし、一定期間を区切って契約更新を繰り返す労働契約(有期)は非正規職員としておられ、その区別によって賃金を月給・日給・時間給と区分されている例が見られます。
 本来、有期労働契約は臨時的または一定期間の必要性で労働者を雇用するもので、その意味で非正規職員として、1日の労働時間や雇用期間中の勤務日数が少ない(パート就労)等の理由で賃金計算単位を区分することは合理的な取扱いであり均衡待遇に反するものではありませんが、業務の内容・責任の程度・その他の事情での適正な評価でなく非正規だからとの理由だけで賃金単価を低くすることがあれば均衡待遇に反することになります。

 なお、既に、非正規労働者に通勤手当を支給しないことに賠償を認めた民事裁判判決もあり、労働条件全般の均衡待遇に配慮(就業規則等の見直しも)することが求められます。

 今、国が進めている「働き方改革実行計画に同一労働同一賃金のガイドライン案が示され、非正規労働者(有期雇用・パートタイム・派遣労働者等)の不均衡待遇解消に向けて処罰を含む法律整備も進められていますので、全ての医療関係業務に従事する労働者が「働きがいある職場」と感じて能力を発揮できる勤務環境作りを推進されますようお願いいたします。 以下、次号へ!

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