平成30年度も引き続き支援業務を推進いたしますので、よろしくお願い申し上げます。 本号では労働契約「合意の原則」について考えてみます。
労働契約法6条では、過去の民事判例を踏まえて、労使が「労働すること」「賃金を支払うこと」について合意すれば労働契約が成立すると規定していますので、例え口約束であっても、詳しい労働条件を取り決めなくても、働く・働かせる約束が証明されれば労働契約は成立(採用内定も、単なる予定でないときは該当)しているということになりますが、労働基準法15条には「労働契約締結時に明示しなければならない労働条件」が定められ、又、労働契約法4条では「労働条件は変更時を含めて書面での確認」を求めていますので、労働者の採用・人事異動の際に「労働条件を明示して合意する」ことが、後日のトラブル防止のうえからも大切であるといえます。
但し、労働条件の合意の原則は、強い立場にある使用者からの「低い労働条件の押し付け」を禁じる趣旨でもありますから、いくら労使が合意したとしても「法令基準・就業規則規定に達しない条件」は無効となります。(労働契約法7・8・12・13条)
同意の原則は、個別の労使関係だけでなく「就業規則の変更」に際しても適用(労働契約法9・10条)があり、労働基準法90条の「就業規則変更手続きとしての労働者代表の意見を求める」こととは意味が異なり、「合理的理由がない同意なき変更は無効」となります。
最近、時間外労働労使協定に反する長時間労働の報道を多く見ますが、これは労働基準法に定める法定労働時間違反事件であるとともに、まさに使用者と労働者(代表)の同意に反することでもあり、労働契約5原則のひとつ「信義誠実」の観点からも緊急点検をお願いいたします。