平成29年3月に政府が発表した「働き方改革実行計画」を基に、「時間外労働の上限規制」「長時間労働の抑制」「高度プロフェッショナル制度」「同一労働同一賃金」「産業医の機能強化」等に関する法律改正(労基法・労働安衛法・労働時間設定改善法等)が本年6月29日に国会を通過成立しました。
働き方改革は、労働時間の短縮や多様な働き方を促進して労働者の生活と仕事の両立・健康確保を図ると共に事業の円滑な推進を目指すものですが、今回の改正では長時間労働の規制等において違反に対する罰則適用も含まれ、来年4月1日以降に施行されますので、詳細不詳の事項もありますが本号から順次説明いたします。
初めに「時間外労働の上限規制」は、労使協定における延長時間の原則限度時間の「単月45(1年単位変形労働時間制=42)時間」「1年360(同=320)時間」、及び、「単月の原則限度時間(42or45時間)を超えるのは協定期間の半分(1年の協定なら6回の月)まで」の制約は改正前と変わりませんが、臨時的な特別条項での限度時間の上限は「単月に休日労働を含んで100時間未満」「1年720時間まで」とされ、時間外労働の「複数月の平均は80時間以内」とすることも法律条文として定められ、来年4月1日(中小企業は1年猶予=医療は資本金3億円・労働者300人以下)から施行されます。
但し、一部の職種等には施行時期が猶予されており、医療分野では「医師」については、具体的な規制等を省令で定めることとして平成36年4月1日(施行後5年猶予)から適用することとされていますので、当面は「医師の働き方改革検討会(厚労省)」が提言する「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」により、できるだけ特別条項の限度時間引下げに努力していただくことで法的対応はできますが、医師以外の職員については来年4月1日(中小企業1年猶予)から改正後の規制をクリアーしなければならないことに留意してください。
具体的には、法律施行後に締結・更新する時間外労働労使協定では、特別条項を設けるときは「医師(上限猶予)とその他の職種(改正限度)の限度時間を二本立て」にすることになりますので、事前に検討をされますようお願いいたします。