改正労働基準法 36協定留意ポイント(三重医報 第700号掲載)

 改正労働基準法の4月1日施行が迫り、「時間外労働上限時間規制・労働時間把握管理」や「年次有給休暇5日間の時季指定付与・付与簿整備」等の義務化対応準備を進めていただいていると思いますが、本号では、4月1日以後に締結・更新する休日・時間外労働労使協定(以下、36協定といいます)」の手続きでのご留意いただきたいポイントを説明いたします。

  1. 医療機関での36協定は、医師を除く職員については他の一般産業と同じく「改正前同様の時間外労働原則限度時間(月45時間・年360時間)」の適用を受けるので、改正された「特別条項での延長時間の上限制限(月100時間未満等)」が1年間適用猶予された中小企業(医療法人は資本金・出資金の概念がないので労働者数常時100人以下のみで判断)を除いて、改正後の法定基準(休日労働と合わせて月100時間未満等)に合致することが必要で、労基署への届出も新様式(9号、又は、9号の2)によることになります。

  2. 一般には医師を含む全職員を対象に一つの36協定」を締結されると思いますが、時間外労働上限時間規制が猶予された「医師の協定内容の労基署あて届出は、医師以外と区分して新様式(9号の4)を使用することになります。
     なお、医師と医師以外の職員を別途に協定することも考えられますが、その場合でも、協定の労働者代表は医師の過半数代表ではなく全職員の過半数代表であることに注意してください。

  3. 今回の労基法改正で医師を対象とする36協定において5年間は「上限時間」が適用されないので、従来の「原則限度時間の設定は必要なく、臨時の必要による労働時間の延長限度を1日・1日超〜3か月・1年の期間別に法的には上限なく取決めればよいのですが、不必要な時間外労働を抑制する意味からも「業務の種類を診療科に分類する等により「各必要延長時間」に区分して、できる限り短い延長時間とするようご留意ください。

  4. 1月号でお伝えしました「医師の働き方改革検討会(厚労省)での2024年4月以後の医師の時間外労働規制は、その後検討され、本年1月21日開催の第17回会合で、診療従事勤務医の時間外原則限度を「年960時間・月100時間(休日労働時間を含む)」としたうえで「連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間確保・代償休暇設定」の努力義務を課すとの方向が示されましたので「医師の36協定」においては参考にしてください。

  5. 今回の法改正対応で「休日・時間外労働、年次有給休暇等に関する取扱い変更」を行った結果、
    就業規則規定との相違が生じる場合は就業規則変更・労基署への届出も必要になることがありますので確認をお願いいたします。

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