改正労働安全衛生法 産業医・産業保健機能強化のポイント
(三重医報 第702号掲載)

 今月から元号が令和と代り新たな時代の始まりを感じますが、働き方改革関連法改正の本年度施行への対応は円滑に進みましたでしょうか。

 労働者を雇用する事業者には「労働による労働者の災害防止と健康確保」の義務が、労働基準法の規定から昭和47年に独立した「労働安全衛生法」に定められていますが、働き方改革関連の同法改正では労働者の健康管理に関わって、特に「産業医の職務権限強化」が図られています。

 従来から健康管理体制として、常時50人以上の労働者を雇用する事業者には「産業医」の選任義務(50人未満では努力義務)が定められていますが、今回の改正では、産業医が誠実に職務を行うことを明示すると共に、

  1. 事業者には、産業医が職務を遂行するのに必要な情報(健康診断・長時間労働者の医師面接指導・ストレスチェック実施結果による措置、1か月80時間を超える時間外労働情報等)の提供が義務付けられました。
  2. 産業医は、労働者の健康管理等について事業者に必要な勧告を行うことができることになりました。(あらかじめ事業者に意見を求めたうえで)
  3. 事業者は、産業医から勧告を受けたときは遅滞なく衛生(安全衛生)委員会に報告(講じた措置等を含む)すること、勧告及び措置についての記録を3年間保存することが義務となりました。
  4. 事業者は「産業医の業務等」について、常時、事業場内の見やすい場所に掲示をして労働者に周知すること、及び、労働者の心身の状態に関する情報の収集・保管・使用に当たって適正管理することが義務となりました。

※13条・101条・104条

 医療分野の業務においては、緊急診療対応や夜勤等による医療従事者の過重労働防止が緊急の課題であり、職員の健康確保推進のうえからも産業医の職務権限強化等の法改正事項に留意されますようお願いいたします。

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