医師の宿日直・研鑽の留意事項(三重医報 第705号掲載)

 厚生労働省に設置された「医師の働き方改革検討会」が労働基準法改正を踏まえて「医師の時間外労働規制の在り方、労働時間の短縮策等」について取りまとめ、本年3月に報告書が出されたことは先月号でお知らせいたしましたが、その中で、今後の課題として①医師等の当直②医師の研鑽の適正な労働時間取扱いが指摘されており、厚生労働省は7月1日に「宿日直(当直)」「研鑽」の法律適用解釈に係る通達を発しています。その概要は、次のとおり。

Ⅰ 医師・看護師等の宿日直基準について
 夜間・休日に、病室の定時巡回、少数の患者の定時検脈・検温等特殊の措置を必要としない軽度・短時間の断続業務を行わせることについては、所轄労働基準監督署長の「宿日直許可」を受ければ労働時間等の法規制を適用しないとする「許可基準(昭和24年)」が改正されたもので、内容は、従来の基準の表現を時代に即して明確化が図られたことが主たる要素で「医師の、非輪番日の少数の軽症外来患者への問診、看護師等への指示・確認」「看護師の、非輪番日の少数の軽症外来患者への問診・医師への報告」等が明示されました。
 当然、これら以外の業務従事は通常の労働時間になり、別途に「36協定」に基づく時間外・休日労働の取扱いをする必要があります。

Ⅱ 医師の研鑽に係る労働時間の考え方について
 労働時間は、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年策定)」に示す「労働者の行為が使用者の指揮命令下にある」と言えるかが基準であることを確認したうえで、医師の研鑽(自らの知識の習得や技能の向上を図るために行う学習・研究等)の運用基準が示されました。
 内容は、所定勤務時間内の「研鑽」は当然に労働時間としたうえで、時間外では「上司指示の有無」をポイントに研鑽の類型ごとに判断基準を示しています。

* 次号以降に「宿日直許可申請」「研鑽判断基準」を引き続き説明予定ですが、
 通達は、インターネット「いきサポ」に掲載されていますので確認のうえ適正な取扱いをお願いいたします。ご質問等がありましたらセンターへ


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