医師の労働時間短縮(三重医報 第718号掲載)

「医師の労働時間短縮」の取組について

 「医師の働き方改革の推進に関する検討会(厚労省設置)」は、令和6年4月1日からの「医師の時間外労働上限規制」の改正労基法施行に向けてのソフトランディングを目指して取組の方向を議論してきましたが、本年3月の第7回会議の後は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で活動が停止しているようですが、7月31日に令和元年 医師の勤務実態調査」「医師の働き方改革の地域医療への影響に関する調査の結果を公表しています。

 このうちの「医師の勤務実態調査」は、病院の常勤勤務医17,751人の回答を集約していますが、「病院常勤勤務医の週労働時間の区分別割合」の分析では、医療機関が所轄労基署長からの宿日直許可を得ている場合の「宿日直中の待機時間を労働時間から除外」していますが、前回(平成28年)調査との比較で、1週の法定労働時間40時間を超える勤務の区分(時間外労働があるグループ)のうち「1週40時間超〜60時間の勤務(1年換算で時間外労働960時間以内)の割合が約5%増加して、62%を超える常勤勤務医が、令和6年4月1日から改正労基法施行が予定される「通常の医師の1年間の時間外労働上限時間960時間」以内での勤務時間となっています。

 改正労基法では、医師の時間外労働について「地域医療確保(救急対応等)のための暫定水準(B水準)が設けられ、対象となる診療業務では1年間の時間外労働上限時間1860時間」となることが予定されていますが、調査結果では、「1週60時間超〜70時間の勤務(1年換算時間外労働1860時間以内)」の割合は大きな変動はなく、「1週80時間超の勤務(1年換算時間外労働1860時間を超えるレベル)」は前回調査から約2%減少となってはいるものの18.9%の存在が認められます。

 新型コロナウイルス感染症対応においても、緊急時の医療従事者の献身的な長時間勤務が国民の健康を支えるためにやむを得ないことが証明されたとも言えますが、それだけにこの時季にこそできるだけ医師の業務軽減を図る工夫が緊急の課題であると思います。
 医師の労働時間短縮取組に関しては、追ってガイドラインが示されることになりますが、当面、皆さまの医療機関での実情を把握していただき、改善余地がある場合には「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組(平成30年2月27日医師の働き方検討会発表)」に基づく対応をもう一度ご検討ください。

 厚労省は令和元年7月に「医師の宿日直許可」の通達(第706・707号に記事)を出していますが、医師の労働時間管理に有用な制度でもありますので、未申請・未許可の場合はセンターアドバイザーにお問い合わせいただけば申請要領等を助言させていただきます。

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