医師の労働時間短縮2(三重医報 第719号掲載)

「医師の労働時間短縮」の取組について

 医療機関の皆様のご尽力で新型コロナウイルス感染症が抑え込まれて、社会活動は「新生活様式」での制約はあるものの行動範囲を広げつつありますが、感染防止規制緩和が進む中では次の感染拡大の波も心配されるところで、医療機関におかれましても引続き発熱者の外来診療等には職員の方々が心身共に負担が増す状況が続くことと存じます。本月は年次有給休暇取得促進期間」でもあり、勤務シフトを工夫して「計画的な年休付与等で職員の健康確保・増進対策を推進されますようお願いいたします。

 8月号から、労働基準法改正による「医師の時間外労働上限時間規制」の令和6年4月1日施行に向けての労働時間短縮取組に関する説明をさせていただき、先月号では「第7回医師の働き方改革推進検討会(厚労省3月11日開催)」で審議された「医師労働時間短縮計画(以下、計画という)策定ガイドライン骨子案」をご紹介しましたが、8月28日に第8回会議が開催され、前回の審議を踏まえて改訂された「計画策定ガイドライン案」が引き続き審議され、医師の時間外労働原則限度時間(年間960時間)超過が予測される医療機関での計画策定時期が延期の方向で検討されることとなりましたので、本号では、その概要をお知らせいたします。
(検討会議事録 関係部分要旨)
 今回提案されたガイドライン案では、医師の時間外労働の状況が改正労基法施行までに限度時間上限(原則=年間960時間、B・C水準=年間1860時間)以内に収まっている必要があり、又、法改正施行後の令和17年末までに廃止が検討されるB水準該当部署での時短取組みを進めるために各医療機関において「計画を策定することを義務とする大筋での了承事項を踏まえて、計画策定義務対象医療機関、計画期間、計画の対象医師、計画記載事項を確定させることや、B・C水準指定のための評価機能(県が指定するための評価組織)等の審議が行われましたが、当初の労基法改正に関する施行規則改正等のスケジュールが大幅に遅れた事情や、医師の副業・兼業での労働時間管理、時短取組等の評価整備についての委員意見等により、更に計画策定ガイドライン案を検討することとされ、最終的には令和3年度の通常国会で法整備を行い、医師の時間外労働上限時間B・C水準適用の要件として評価指定を受けることができる「計画」の策定ガイドラインが公表される方向となりました。

 この「計画」策定や、医師の長時間時間外労働での追加的健康確保措置・医師の労働時間短縮の緊急的取組の推進等は医療勤務環境改善支援センターが支援を行うこととされておりますので、「計画策定につきましてはガイドライン公表後に、確定したB・C水準評価指定要件を踏まえてご助言をさせていただきたいと思っております。

 次回の医師の労働時間短縮関係記事は、検討会の報告書が纏められた時点で掲載させていただきたいと思っていますことを申し添えます。

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