新型コロナウイルス感染の状況は、変異種による再拡大等で未だ終息の出口が見えませんが、その予防・診療に当たられる医療従事者の皆さまの過重な勤務実態も報じられています。長時間・休日勤務、高ストレス等による健康被害防止にご留意ください。
先月号でご案内いたしました令和6年4月1日からの「医師の時間外労働上限時間規制」に関して、特定地域医療提供機関、同連携型(兼業)、技能向上集中・特定高度技能研修機関についての特例(年間960時間を超える時間外労働が可能となる)の適用を受ける(評価申請受付=来年度予定)ために準備すべきこと等を、本月から順次説明いたします。
先ず、令和6年4月1日以後、医師に、時間外労働をさせない、又は、医師の36協定での限度時間を「休日労働を含めて年間960時間以内」とする医療機関では、特例適用の指定を受ける必要がありませんので特段の準備は必要ありませんが、その場合は、法定労働時間・36協定の時間外労働原則限度時間を超える違法な勤務がないよう、適正な労働時間管理をお願いいたします。
なお、医療機関の多くでは大学病院・地域医療支援病院等の勤務医の派遣(兼業)を受けて、外来診療や病棟当直・日直に従事していただいている例が見られますが、この場合は、本誌の昨年11月号で説明(センターホームページに記事保存あり)しましたとおり、受入れ先での勤務時間のみで労働時間管理をするのではなく、派遣元での勤務状態を確認(本人からの届出確認でよい)のうえ、その労働時間に受入れ先での勤務時間を通算(兼業受入れ医療機関が上積み)して、法定労働時間を超える勤務があれば「時間外労働(36協定・割増賃金が必要)」として管理が必要ですので、兼業医師受入れ医療機関では、採用時労働条件明示内容、派遣元・受入れ先の勤務時間、及び、36協定内容等の再確認をしてください。
兼業の場合、派遣元での勤務が法定労働時間未満であれば、法定労働時間から派遣元勤務時間を除した時間数(例 派遣元で「1日8時間・週3日(24時間)勤務→40―24=16時間)は、受入れ先医療機関で法定内の所定労働時間として、36協定・割増賃金は不要ですが、週16時間を超える勤務時間は(法定)時間外労働となり36協定・割増賃金が必要で、又、派遣元の所定労働時間が「1日8時間・週40時間(法定労働時間フルタイム)」の勤務医が、派遣元の勤務時間外・休日に他の医療機関で兼業勤務する場合は、勤務時間の全てが(法定)時間外労働となることにご注意を。
派遣元医療機関で時間外労働がある医師が兼業勤務する場合は、国会審議中の医療法改正案の「連携型特定地域医療提供機関(医師の働き方改革推進検討会報告の連携型B水準)」として、派遣元・受入れ先の夫々の医療機関の時間外労働上限時間を年間960時間とする特例に該当し、特例適用の評価・指定を受ける必要がありますのでご留意ください。
以下、次号へ。 ご質問等があればセンターあてにFAX・電話にてお問い合わせください。