新型コロナウイルス感染症の拡大収束が未だに見通せない中、医療従事者の皆さまには、長期にわたる非常事態に心身共に過重な勤務負担になっていることと存じますが、医療機関におかれましては職員の健康管理にも十分なご配慮をお願いいたします。
先月号では、医師の時間外労働上限時間規制に関わって“兼業”の場合の労働時間通算について説明いたしましたが、その場合の受入れ医療機関での勤務も含めて「当直・日直」の勤務状況によっては通常の労働時間とカウントしないことができる場合があります。
〇 本誌705・706号(2019年8月・9月)の「センターからのお知らせ」で“医師等の宿日直関係”の説明をしておりますので、インターネット当センターホームページ中段お知らせ「労務管理に関するワンポイントアドバイス」にて確認してください。
一般に医療機関では、夜間・診療休日の病棟入院患者病状管理、夜間・診療休日の救急外来患者待受け・診療等の医師の勤務を「当直・日直」と取扱いしておられると思いますが、労基法では「宿直・日直」と表現して、出勤してから終業までの間に殆どの時間は待機状態で断続的に軽度な業務に従事する就労である場合には「監視又は断続的労働(第41条3号)」として所轄労基署長の許可を受ければ、当該勤務は労働時間・休憩・休日の法規が適用されませんので、要件に該当すれば時間外労働時間数にカウントしないことができます。但し、救急外来の当直・日直は業務が軽度と言えないので、在院時間の内の業務従事時間が短い場合でも「監視・断続労働」としての許可はされませんので念のため。
なお、医師等にかかる宿直・日直の許可は、「軽度な業務」「断続労働」の要件が必ずしも全国斉一基準での取扱いとは言えない状況があり、厚労省に設置された「医師の働き方改革検討会」の「医師の時間外労働規制の在り方、労働時間の短縮策等」の報告書でも問題点が指摘されていますが、許可要件を明確にして適正な運用が計られるように2019年7月1日に厚労省労働基準局長通達が出されており、本年4月1日開催の「日本医師会 医師の働き方担当理事連絡協議会(Web会議)」でも医師の時間外労働短縮対策としての「宿日直許可申請」の積極的取組みが示されたところです。
2024年4月1日からの「医師の時間外労働上限時間規制」施行に向けて、上限時間特例適用等のための医療法改正が今国会で審議中(本稿執筆時予測)ですが、原則としての労働時間短縮及び地域医療確保特例の適用での労務管理においても有効なことと思いますので、現行の処遇条件確保等を労使協議のうえで事前の「許可申請取組」をご検討ください。
以下、次号へ。 ご質問等があればセンターあてにお問い合わせください。