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2024年4月1日から施行される労基法改正による「医師の時間外労働限度時間、及び、地域医療確保・集中的技能向上のための限度時間例外適用」に関連して、第204国会(令和3年常会)に提出された「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案」が可決され、5月28日に公布されました。
改正内容は、昨年12月に「医師の働き方改革の推進に関する検討会(厚労省)」から中間取りまとめとして報告された「医師の時間外労働の上限規制に関して、医事法制・医療政策における措置を要する事項(医師の勤務実態及び働き方の意向等の調査を前提としたとされている)」を踏まえた法案ですが、衆・参両院で付帯決議(大学病院の地域医療提供体制への協力、医師労働時間短縮への医療機関のマネジメント改革、長時間労働の医師への医師面接指導確保、医師の育児休業取得環境促進等)が付いたものの修正なく成立しました。
労務管理としてのポイントは、医師の時間外労働が労基法改正施行の2024年4月1日以降に、年間960時間の基本的な限度時間を超えて36協定の延長時間の上限時間を定めることができる医療機関(特定労務管理対象機関→地域医療確保暫定特例水準=B・連携B、集中的技能向上水準=C-1・C-2)、及び、医師(当該業務に従事する医師)を都道府県知事が指定する制度が創設され、当該医療機関は「労働時間短縮計画」を策定して医師の労働時間短縮に取り組むと共に、長時間労働となる医師の「追加的健康確保措置(連続勤務時間制限・勤務間インターバル・代償休息)」を講じることとされています。
特定労務管理対象機関の指定は、当該医療機関が、各県に設置される「医療機関勤務環境評価センター」の評価を受けて知事あてに申請することになり、申請には「労働時間短縮計画案」の添付が必要で、評価センターが運用されるのは2022年4月1日からなので、それまでに策定する必要がありますが、計画案の内容は、現在の労務・健康管理の方法・運用状況や、意識改革・啓発、タスク・シフト/シェア、医師の業務見直し等の推進状況を記述したうえで、指定を受けた後の取組・改善目標等を表明するオリジナルな内容とされていて、既に発表されている労働時間短縮計画ガイドライン案を修正したうえで、本年9月までには「計画案ひな型」が示される予定になっていますので、特定労務管理対象機関として医師の時間外労働が基本的限度時間を超えると見込まれる医療機関では、当該業務従事医師の勤務実態把握・業務改善等を進め、円滑な指定申請のご準備をお願いいたします。
申請準備のご相談・質問等があれば、センターあてにお問い合わせください。