センターニュース かわら版

TOPIC 高年齢者雇用安定法改正と副業・兼業

 

 収束の見えないコロナウイルス感染症拡大に対応していただいております医療従事者の皆さまに心から感謝申し上げます。今回は、医療の人材確保が社会の大きな要請となっております折から、以下の二つのテーマのご留意いただきたいポイントを説明いたします。

Ⅰ 高年齢者雇用安定法が本年4月1日に改正施行されました。

 平成24年の法改正では、高齢社会の進展に合わせて労働者が希望すれば65歳まで就労することができるよう、事業主は、定年の引上げ、継続雇用制度導入、定年制廃止のいずれかの措置を取ることが義務化されましたが、今回の改正では、70歳まで就業機会を確保できるよう事業主の努力義務が定められました。

「求められる就業機会確保措置」としては、以下の事項が示されています。

定年年齢を70歳以上にするか廃止する
定年(*60歳以上の義務あり)後70歳までの継続雇用制度を導入する
高年齢者が希望すれば70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度、又は、事業主が関与する社会貢献事業に従事できる制度を設ける(この選択には、労使協定が必要です)
*従来の措置を変更または新たに制度を設ける場合は、就業規則(職員数10人以上は作成義務あり)等の規定整備をしてください。
「関連事項」 定年・事業主都合により退職・解雇する高齢者について、事業主が再就職活動の協力をする努力義務、及び、ハローワークへの「多数離職届(5人以上、1か月前までに届出)」の手続きをする義務は、70歳未満の退職者に拡大したことにご留意ください。

Ⅱ 副業・兼業についての留意事項

 労働者の働き方改革推進の中で、多様な働き方として副業・兼業を希望することは労働者の自由というルールが定着しており、医療の分野においても地域医療確保の事情からの「医師の副業・兼業勤務」が多く見られますが、ときには、労働契約における労使双方の契約履行義務等の面から労働者の副業・兼業を制限することが必要な場合が生じることもあることから、厚生労働省は「モデル就業規則の第68条2項(インターネット検索可)」に、副業・兼業を制限する場合の規定例を示しています。
 副業・兼業の制限の適否は、民事訴訟において争われることになりますが、モデル就業規則の規定例(労務提供上の支障がある場合等)を参照していただき、貴院の就業規則等の規定が、基本的には副業・兼業を認めたうえでの適正な制限となっているかをご確認ください。

 なお、副業・兼業をすることによる「二重雇用」の場合、本業事業場と兼業事業場の労働時間の通算管理、健康管理、労災保険・雇用保険の適用・給付についての留意事項等が「副業・兼業の促進に関するガイドライン(インターネット検索可)」に示されていますので、参考にしてください。
 この他にも、ご質問がございましたら支援センターに問合せをしていただくようお願いいたします。


医療労務管理アドバイザー/社会保険労務士
玉置 三冨士

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